創世工房Low-Rewrite
「……ごめんなさい」
校庭を走る野球部のかけ声は、妙に耳に付いた。
「あ、そ、そうですか……。こちらこそ……ごめんなさい」
彼は残念そうに目を伏せると、明白さまに悲しそうな顔で立ちすくむ。
居心地の悪い空気の中、私は軽く頭を下げると、
「……ごめんなさい」
逃げるようにその場を離れた。
校庭の片隅。一人残された彼の心情は想像に難くなかったが、しかし。
実際はどうか分からない。
悶々としながら、正門より歩いて五分の横断歩道で足を止める。
ここまで、道中の記憶が無いのは私が瞬間移動出来るから――なんて冗談は口に出来そうにない。
実際問題、私はどう答えるのが正しかったのだろうか。
『真嶌さんのことが一年の時からす、好きでした! 良かったら……良かったら俺と、つっ……付き合ってください!』
押しボタン式だったことを今更ながら思い出した。
一分弱もあの女子高生は何をボーッと突っ立っているのだろうか。向かいのコンビニでたむろする小学生達。彼らのありもしない嘲笑を思うと、一人、恥ずかしさに顔が火照った。
←前の章 戻る 次の章→
校庭を走る野球部のかけ声は、妙に耳に付いた。
「あ、そ、そうですか……。こちらこそ……ごめんなさい」
彼は残念そうに目を伏せると、明白さまに悲しそうな顔で立ちすくむ。
居心地の悪い空気の中、私は軽く頭を下げると、
「……ごめんなさい」
逃げるようにその場を離れた。
校庭の片隅。一人残された彼の心情は想像に難くなかったが、しかし。
実際はどうか分からない。
悶々としながら、正門より歩いて五分の横断歩道で足を止める。
ここまで、道中の記憶が無いのは私が瞬間移動出来るから――なんて冗談は口に出来そうにない。
実際問題、私はどう答えるのが正しかったのだろうか。
『真嶌さんのことが一年の時からす、好きでした! 良かったら……良かったら俺と、つっ……付き合ってください!』
押しボタン式だったことを今更ながら思い出した。
一分弱もあの女子高生は何をボーッと突っ立っているのだろうか。向かいのコンビニでたむろする小学生達。彼らのありもしない嘲笑を思うと、一人、恥ずかしさに顔が火照った。
←前の章 戻る 次の章→