創世工房Low-Rewrite

――初めてだった。
 同年代の男子に、好意を示されたことは只の一度も無い。
 動揺しているかどうかは自分自身、よく分からない。そう言われれば頭は混乱している訳だからそうなのかもしれないと思い、違うと言われればコンビニの窓に映る仏頂面がその証拠だとも思う。
 『冷静過ぎる少女。』私の立ち位置であり他人からの総評でもあるその言葉が、今はぐらついて頼りない。
 今まで培ってきた自己がぐらつくとは、昨日の私は思いもしなかった。
 告白、侮り難し。
 ……正直な所、私にとって恋愛は高嶺の花なのだ。
 手を伸ばしても届かないのに、私は伸ばすことすらしない。いつの日か、この崖が土砂崩れかなにかで自然と崩れ、お目当ての花が手の届く範囲に来ることをただひたすら待っているだけなのだ。
 なんて怠惰な高校生活だろう。分かりつつも甘んじていた私は文句を言う権利なんて無いのだろうけど。






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