創世工房Low-Rewrite

それはつまり……今の私は元の世界でも他人の『世界』を感じ取れるということなのだろうか……。もしそうだとしたら……。
 「彼の気持ちも分かると思うよ。それが君が元々望んでいたこどだしね。見るなとは言わないよ。でも無闇矢鱈に見た結果、この世界のように君になってほしくないんだ」
 「私は……肝心なところで度胸がないから……多分……」見れない。
 そう。プレは優しく微笑むと、再び卓上にカップを戻した。二つのカップは既に熱いハーブティーで満たされていた。クッキーを側に伴わせて。
 「僕が君をこの世界に連れてきたのは、他人の『心』を見れないままだと、君はこの先ずっと疑心暗鬼に駆られたままでいそうだと思ったからなんだ。
 それならいっそ……って思ったんだけど、かなり強引なショック療法だったね。でもそのままなのはあまりにも勿体なさすぎるし……」
 今度はプレの言葉が尻すぼみになっていった。彼の『世界』が同時に輝きを減らしたことは言うまでもない。






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